シェアハウスの戦い⑥家で男性に会う

小休憩 暮らし

こんにちは、サンプルりか子です。

これまで5回に渡ってシェアハウスの戦いを綴ってきました。
今回は小休憩(休戦)ということで、戦乱の中で起きた小話です。


最初の家も相当な騒音等でしたが、次の家はそれを超えたものでした。

まだ私が次のシェアハウスに越してきて間もない頃、
絶賛騒音に悩まされ、そろそろ管理会社に言おうと考えていた昼下がり。
在宅勤務で自室でお昼を済ました後、食器を洗うためキッチンに行くと、
男性が家に入ってくるところでした。
挨拶しましたが、あれ、ここって女性専用じゃなかったか?
疑問が過りました。
男性は掃除道具を持っていたので、どうやらスタッフさんのようです。

ああ、管理会社の人か。
ちょうどいい。

私はスタッフの男性に話しかけました。

「すみません、ちょっと、苦情を聞いていただいてもよろしいでしょうか」

回りくどい言葉は要らないと思い、直球に話のテーマを伝えました。
テーマ「苦情」。

「いいですよ」と男の人は快諾してくれました。
よかった、優しそうな人だ。
私は一連の騒音やら住人の素行やらを話しました。
男の人はうんうんと頷いたり、時々驚きながら聞いてくれました。

最後に、
「俺、管理会社の者じゃないんですが、伝えておきます」
と言ってくれました。

え、違うの?
この男性は、週に1度シェアハウスのお掃除に来てくれている外部委託の方だったのです。
てっきり管理会社のスタッフだと思い苦情を言いまくった私。
でも話を聞いてくれ、管理会社に伝えてくれるとのこと。
よかった。

それから私が気分転換で外に徘徊に行かない日はキッチンに降りていって、
挨拶を交わし、次第に立ち話をするようになりました。

私も最初の家では途中から掃除係をしていましたが、
まったく知らいない人たちが汚した家を掃除するって
結構覚悟が必要だと思います。
何があるかわからないからです。
各自の「家」なので、各自のそのまんまが露天されているわけで、
それはそれは見にくいものから醜いものまでいろんなものに遭遇します。

この清掃員の男性Bさん(いつも黒いポロシャツだったのでブラックのBね)は
私の住むシェアハウスだけでなく他数カ所のシェアハウスへも掃除に
行っているとのことでした。
私はBさんとの週1回ほんの10分ほどのお喋りで
状況を話したり、シェアハウスのあれこれを聞くのが楽しみでした。

Bさんは限られた時間で掃除をしないといけないので邪魔できないですし、
(してたけど)
他の人に見られた際、道草していると取られてもまずいので、
(させてたけど)
キッチンに誰もいないのを確認して、あまり長くならないように話していました。

最初の家では共有部にゴミ箱が設置されていましたが、
次の家にはありませんでした。
自分で出したゴミはすべて各自が処理します。

シェアハウスによっては、共有部のゴミを住人が
交代で捨てるシステムもあれば、最初の家のように
住人の中で掃除係を決めてゴミの処理もする(何がしの免除あり)、
というシステムの場合もあります。
最初の家では、共有部のゴミ箱に分別関係なしで色んなものが入れられたり、
ゴミ袋を新しいものに変えた当日に、個人のゴミを入れられて満杯になったり、
使い方が乱雑になって管理者に言ったことがあります。
その時の管理者の対応としては、今後そのような扱いを続けた場合、
ごみ捨てを当番制にするか、ゴミ箱自体を撤去する、
というアナウンスを全住人にするというものでした。

ゴミ捨ては単純ですが、家中の共有部にあるゴミをまとめ、
ゴミ回収前に収集場所に出しに行かないといけないし、
あんまり早い時間に出すとご近所さんの迷惑にもなります。
当然、他人のゴミも一緒に捨てるわけで、
汚いし重いし、単純ですが面倒な作業です。
私は無心でやるのでそこまで苦ではなかったため、引っ越すまで引き受けていました。

この二番目のシェアハウスにはそういったゴミ箱が一切なかったので、
何かあったのか、始めからそういう方針なのか、とまぁそんなもんかと思っていました。
Bさんにもそれを聞いてみると、共有部、特にキッチンにゴミ箱がないのは通常はありえない、と。
何かあって撤去されたに違いないとのことでした。
この住人達のシェアハウスの使い方であれば、そうなってもおかしくないなと思いました。

食器も洗わないしなおさない、調理で出た生ゴミや食べかすもそのまま。
誰かが片付けてくれると思っているのだろうか?
不衛生だし、行儀悪いし、本当にありえないです、と話すと、
もっと危険なこともありますよ、と言うのです。

とあるシェアハウスでは、
共有部の壁に○○○が付けられていたことがあったそうです。
無責任ですねで済むような話ではありません…。
あとは、、本当に色んなことをする人がいる、と。

この話を聞きながら同時に頭の中でイメージが浮かんでしまった私は、
すごい顔をしながら聞いていたと思います。
今まで知らなかった世界が、わりと身近にもあるんですね。
そういうもんなんですね。
きっと自分の見えている世界よりも、知らない世界のほうが
うんと広いんでしょうね。

「わかりました、壁に○がついていないかチェックします…」

幸いにも、私が居た間にそういう類のものを見かけることはありませんでした。


私がシェアハウスを出ていく週。
Bさんの掃除の日、はじめてお互いの名前を名乗りました。
そして心ばかりお菓子を渡すと喜んでくれ、Twitterにアップしよ!と言っていました。
ほなリツイートします!とは言いませんでしたが。

この戦場で、いかに皆無責任でここが無法地帯となっているかをわかってくれるBさんとの、
この時間は、私にとって憩いの場であったし、
最後にBさんも寂しくなると言ってくれました。
住人に睨まれたり目の前でタバコを捨てられたりすることはあっても、
こうやって雑談することはなかったそうです。

辛い中でも、そういう人に会えたのは救いでした。

新しい家が楽しみです!
お気をつけて、といってお別れしました。


これで、私の1年ちょっとのシェアハウス生活が終わりました。
今振り返ると自分にとっては戦場で、これまで生活していたことが信じられませんが、
シェアハウスを否定したいわけではありません。
人には向き不向き、合う合わないがあり、それが全てだと思います。

なかなかその場に飛び込んでみないと自分が本当に望むもの・ことを理解できないこともあるので、
東京でのシェアハウスの経験は自分の「向いているもの・合うこと」に
出会うための機会であったとも思っています。

みなさんも、ご自身に会ったお家に出会えますように。

私は未だに出会っていませんが。


「シェアハウスの戦い」、完。


では、また。

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